毎年5回の開催を定期的に行っている「林定期能」は、京都にて観世流の能の「謡」および「シテ」を務める職分家の一つである林家と、そこに名を連ねる同門によって運営されています。
林定期能楽会は、室町時代から受け継がれた能を未来に伝える事を目指し、伝統に基づく格調高い舞台を作るべく、日々研鑽を積むと共に、公演に際しては解説書の配布、出演者による解説など見る立場に立った舞台を工夫します。
慌ただしい現代の中で、ひととき日本の美にふれ、何かを感じ取って欲しい、能をこよなく愛する林家一門の舞台を是非ご覧ください。
林家のこと
林家は京都にて能の観世流シテ方を務める家です。
初代林喜右衛門(1634没)は京都市の千本三条にて林喜右衛門を名称し、謡を以って生業としたとされていますが、年表などの歴史検証にて確認できるのは三世林喜右衛門玄融からと言われております。
三世玄融は寛文 5 年 (1665) 出生、江戸時代の四代将軍徳川家綱の時代にあたります。
三世玄融より十一世幽玄が御室に移るまでの二百余年、新町高辻岩戸山町に住み、京都における謡指南の家、京観世五軒家の一つとして能の世界で重きをなし、多くの門 人を擁してきました。
三世玄融が50歳を超えた江戸享保年間に観世の直門となり、これより代々林家は江戸の観世宗家の元へ修行に通うのが慣しであり、現在まで受け継がれております。
元々は素謡が専門の家であり、 能の立方を務めるようになったのは十世林喜右衛門玄忠の代と言われています。
→詳細は林宗一郎HP http://hayashi-soichiro.jp/howto
林家同門のこと
同門とは林家に名を連ねる門弟の事で、現在は河村、味方、田茂井、松野、樹下などの観世流シテ方能楽師の門人が中心となって林家を形作っています。
普段は舞台活動や教室活動、レクチャーなどを個人的に行っていますが、各々の舞台に同門を呼ぶ事も多く、決め事ではないながらも緩やかに連携体制をとって活動を展開しております。
林定期能とは
林定期能は林家とこの林家同門によって運営が行われており、現在は、観世流の職位の準職分及び師範を持つメンバー14名(林宗一郎含む)が林定期能楽会に所属しています。
定期能5回の興行の中で準職分のメンバーは一回はシテを務める形となっております。林定期能という上演形式が生まれたのは十一世幽玄が自宅舞台を建てた1920年(大正9)の事であり、2020年、林定期能は創立100周年を迎えます。
林定期能略年
- 1920(大正9)2月
- 11世喜右衛門幽玄、京都市(下京区新町高辻上ル)の自宅に舞台を建設
- 1920(大正9)5月
- 林家舞台にて林定期能発会 この時より林定期能が始まる
- 1930(昭和5)3月
- 京都市右京区御室に舞台移転
- 1958(昭和33)
- 京都観世会館竣工、林定期能の会場を京都観世会館へ移行
2020年に林定期能は
100周年を迎えます。